「訪問診療を考えているけれど、どこを選べばいいのか、何を基準にすればいいのか迷っていませんか?高齢の家族がいる方、一人暮らしの高齢者様、そしてその家族全員にとって、訪問診療の選び方はこれからの時代に非常に重要な課題です。この記事では、そんな悩みを解消すべく、訪問診療の選び方のポイントを長年訪問診療にな頭触ってきた医師として、自分が訪問診療をうける場合だったらどうするかも含めアドバイス致します。最適な診療を受けるための第一歩を踏み出しましょう。」

はじめに:訪問診療の重要性

訪問診療は、高齢であったり、身体の状態により外出が難しく病院に通院が難しい場合に自宅に医師や看護師、リハビリスタッフ、薬剤医が訪問し、自宅で医療サービスを受けられるようにする医療サービスです。これにより、病院やクリニックに足を運べない方々もご自宅で医療を受けることができます。特に高齢化が進んでいる日本では医療のなかでも重要な役割のひとつです。

訪問診療の特徴・一般診療との違い

訪問診療の特徴は、なんと言っても医師や看護師が直接、患者様のご自宅や施設を訪れる点にあります。これに対して、一般診療は患者が医療施設に足を運び、診察や治療を受ける形式を取ります。そのため、訪問診療は長時間病院の待合室で待つという負担がなく、住み慣れたご自宅でゆっくりとおまちいただくことができます。また、病院に行く一般診療に比べできる検査や治療のできる範囲は狭まりますが、それでも、現代の訪問診療では採血、心電図、超音波検査、レントゲン、点滴・注射、ワクチン接種、輸血などもできます。

また、これは訪問診療の最大の特徴かもしれませんが、24時間365日訪問診療のクリニックは対応する義務があり、例えば夜に熱が出た、具合悪くなったなどがあればかかりつけの訪問診療が深夜でも対応してくれます。(ちょっと言い忘れましたが、訪問診療はクリニックとの月額の契約を結ぶことになります。1割負担だと月6000円くらい)

自分にあった訪問診療の選び方-基本-

ここからが本題です。今は、訪問診療をやっているクリニックもたくさんあるのでご自分で選ぼうとすると何を基準にすればいいのか・・・正直迷います。(*’▽’)
そこで、訪問診療に携わって5年(2023年時点)の私の考えも入れつつ僭越ながらアドバイス致します。

まず、最も重要と思われる点を2つ挙げます。

それは

  • ご自宅から近いこと
  • 地域の信頼があること

この二つですね。

ご自宅から近いこと

どれくらい近いかというと、担当する訪問診療のクリニックがご自宅から5㎞圏内がベスト、8㎞圏内など良し、10㎞圏内なら可、それ以上はやや遠いかなという印象です。

実は訪問診療はクリニックから半径16㎞圏内の患者様しか対応してはいけないというルールがあります。

ただ、正直、クリニックから16㎞はかなり遠いです。関東圏内、特に都内だと日中混んでるときは1時間30分はかかってしまいます。

訪問診療のメリットは24時間なんでも対応してくれることです。近ければ、近いほど患者様も気軽に相談できますし、医療者側も気軽に行き来できる、ちょっとしたことでも直接やり取りできます。これは大きなメリットです。

地域の信頼があること

次が、地域の信頼があることですね。

え、地域の信頼ってどうやって調べるの?ってなりますよね。

その情報を持っているのは
「ケアマネージャー様」
「地域包括の担当者様」
「病院の地域連携室のソーシャルワーカー様」
「訪問看護様」

まず、第一に医者はこういう情報には疎いです。医者は病気の治療が主題であって、地域連携などに精通している医者は一部です。なので、現在の主治医に「どこか訪問診療ありますか?」と聞かれも、わからないことが多いです。

もし、あなたが介護保険で要介護以上を持っているならば

担当のケアマネージャー様がいるはずです。ケアマネージャ様は職業柄、ご自分の担当されている患者様の訪問診療の担当医とは定期的にやり取りをしています。そのため、あそこのクリニックは親身になってみてくれるとか、あそこのクリニックはいろいろな科の先生がいるだとか情報をたくさん持っています。優しい先生だよ、とか、厳しいけどしっかりした先生だよとか、若い先生、年配の先生とか、そういう、調べてもわからない情報もっています。そして、なにより自分の担当している患者様から生の声、クリニックに対する評価を聞いていますので、あなたにあった訪問診療のクリニックをアドバイスしてくれると思います。

もし、あなたが年配で介護保険がない、若しくは要支援しかない

だとすればケアマネージャー様はいないと思います。その場合は「地域包括支援センター」に聞きに行ってみてください。かならず、地域に地域包括支援センターがありますのでしらべてみてください。地域包括にいる方々は地域の医療、介護の情報をもっています。地域包括の方々にいい訪問診療を聞いてみてください。

もし、あなが入院中で退院後に訪問診療を予定しているなら

病院の「病院の地域連携室のソーシャルワーカー様」に聞いてみましょう。病院にはかならず「地域医療連携室」という病院の内部と外部を繋いでくれる部署があります。この方々は主に入院や退院後の医療サービスの調整をしてくれます。そして、退院後の訪問診療のクリニックともやり取りされています。お住いの地域でお腹の水を抜けるクリニックとか、輸血ができるクリニックとか治療にあったクリニックを選べるとともに、クリニックの先生や看護師さんの人柄もしっています。是非、きいてみてください。注意点は病院の先生や看護師様はあまり訪問診療のクリニックの情報はもっていません。

もし、あなたが訪問看護様を利用されているなら

訪問看護の担当ナース様にきいてみるのも1つです。訪問看護師様は職業がら地域の訪問診療のクリニックとやり取りをしています。なので、あそこのクリニックは親身にやってくれるとか情報があります。そして、なにより訪問看護さんがやりやすいクリニックと組むといろいろなことがスムーズにすすみます。具合悪い時は訪問看護様がクリニックとすぐにやり取りしてくれます。担当の訪問看護様にきくのもありです。

うえの二つのポイントを押さえれば、ほぼ間違いなく自分にあった訪問診療のクリニックを選ぶことができます。

よくある質問

規模の大きいクリニックが小さいクリニックよりいいのか?

これは自分のクリニックを推す形になってしまうので語りずらいテーマですが、、、広く展開しているクリニックが必ずしもいいかというとそうでは無い気がします。

まず、第1にどんなに沢山クリニックに医師が在籍していても、主治医はひとりです。その先生と気が合うかどうかによって、訪問診療は大きくかわります。嫌いな先生に毎回家にきてもらうのはストレスですよね。大きいクリニックの難点は患者様の数に対して医師が不足になりがちで、訪問診療に思い入れのないバイトの先生も入ってきてしまう可能性があることです。たとえば。そのクリニックの院長先生がどんなに訪問診療におもいれがあっても、医師が足りず週1でアルバイトにとりあえずきている、訪問診療に思い入れがない先生が担当医にあたるとつらいです。もし、そういう状況になったら迷わず、ケアマネさんや訪看さん、クリニックの話しやすい人に言ってください。大きいクリニックなら必ず良い先生がひとりはいます。医師を変えてもらいましょう。他のクリニックにかえてもいいです。日本だとなかなか医師をかえるのが勇気がいりますが、1歩踏み込んだ方がいいです。気の合わない医師と付き合っていくのは本当につらいとおもいます。

自分の病気にあった専門医が訪問診療の医師にいない

次に訪問診療の先生は何科がいいのかという点に関してですが、僕の経験上、何科でもいいというか、何科よりも話しやすい自分にあった先生に担当してもらうのが1番だとおもいます。というのも、最近の訪問診療は採血や超音波検査や心電図などいろいろできるようにらなったとは言っても専門科でなければできないようなももはありません。また、現在は初期研修といって医師は2年間、あらゆる科を研修することが義務ずけられてますので、内科でなくても高血圧や糖尿病の管理は出来ますし、外科でなくても傷の処置はできます。医者であれば在宅診療で必要な処方や処置はできます。なので、肝心なのは話しやすくつきやいやすい医師か必要な時に病院と連携してくれる医師かが重要です。

※ただ、在宅診療でどうしても専門家が必要な科は2つあります。ひとつは小児外科、もうひとつは認知症以外の統合失調症やうつ病などの精神科です。小児外科は生まれながらの奇形などの疾患をみれる必要がありかなり特殊です。精神疾患に関しては認知症の暴れる(不穏)などは一般の医師もみますが、統合失調症やうつ病などは精神科専門医の薬の調整が必要です。また、精神疾患において精神科医だと自立支援という申請をだすことができ、とおれば医療費を大幅にへらすことができます。

まとめ:最適な訪問診療を選ぶために

最適な訪問診療を選ぶために重要なポイントを訪問診療に携わる医師としてお伝えしてみました。大切なのは「ご自宅から近いこと」「地域の信頼があること」この二つです。そして、クリニックの規模や専門医よりも自分の話しやすい医師を見つけるのが素晴らしい訪問診療を実現するうえではとても大切です。少しでも皆様の参考になれば幸いです。